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回遊する家(S邸)


施工:マクロホーム奈良




 「吉村順三直伝の最たるものに、家の中の

回遊性がある。」と宮脇檀が彼の著書に書い

ているように、家の中をグルリと回れるよう

な部分をつくることは、両巨匠が常に意識し

ていた設計手法である。

 とかく、個室の数で評価される風潮にある

現代の大多数の住宅は一方通行的な単純な動

線だけで構成されていて退屈で、楽しさがな

いわけである。

 この家の主は当初建物の周囲にバルコニー

を巡らせるプランを希望された。そこで2階

の東・西・南に連続したバルコニーを設け両

端を屋内動線と繋げた。これにより各部屋で

留まるだけでなく、それらの間を動き回る楽

しさが、生まれたわけである。1階も同様に

リビング→ダイニング→キッチン→ユーティ

リティ→リビングと回遊性をもたせている。



 この作品は、雑誌「住まいnet関西vol.8」

に掲載されました。